つながりのある事業所様からの紹介でした。
高齢化社会になると相続する側が子どもや孫だけとは限りません。
長男の方が病気で先に亡くなり、お母様が相続人になりました。
長男の方もまさかお母様より自分が先に逝くとは思っていなかったので、相続の準備はしていません。
ところが、お母様は高齢で長く認知症を患っています。
相続どころか、息子さんが亡くなった事実も認識できないようです。
相続関係の認知症対策は、主に2つになります。
成年後見制度と家族信託制度です。
家族信託制度は判断能力低下以前に、成年後見制度は判断能力低下以後に 行われます。
家族信託は主に相続人が被相続人(財産を遺した人)の財産管理を行うための制度です。
今回の場合被相続人の息子さんが先に亡くなったために、家庭裁判所で法定後見人が選ばれました。
100歳を超す長寿の人もいれば、残念ながら若くして亡くなる人もいます。
寿命格差も広がっており、このようなケースは今後増えていくでしょう。
相続する人ができるだけ困らないように生前から相続対策する人もいれば、死ぬまで自分の財産は手放したくない。しかも、子どもたちにはいくら資産があるか知られたくもない人もいます。そういうケースの場合は相続対策のしようがありませんね。
奥さんを先に亡くされた85歳のKさんの相続人は、Kさんの子どもである長男と長女の2人です。
Kさんは遺言状に同居している長女に自宅と現金を遺し、長男に土地を遺しました。
しかし、長男には土地の相続税を払う現金がありません。
一体どうすればいいでしょうか?
長男の取れる手段は大きく4つです。
まず、土地がすぐ売れそうな物件でもなく現金もないのであれば、相続放棄できます。
相続放棄は相続人が死亡してから3ヶ月以内に行うことができます。
相続する場合は相続税を相続人が死亡してから10ヶ月以内に納める必要があります。
どうしても払えない場合は、延納、物納、不動産売却の方法があります。
延納は税務署の審査が厳しく、物納も現実的ではありません。
長男の場合、幸いにも土地が好物件だったので、期限内に売却することができました。
ただし、不動産を売却した場合、所得税や住民税など税金も発生します。
税法の改正によって配偶者が住居だけではなく、現金がより相続しやすくなり、配偶者の老後の心配は少なくなりました。
でも、配偶者控除をフル活用して妻の相続ばかりを多くすると、二次相続、つまり妻が亡くなったときに相続する子どもたちの税金の負担額が増えてしまいます。
このように相続するときには二次相続のことまで考えて、遺産分割を考える必要があります。
Nさんの遺産は合計2億円。相続人は妻と2人の姉妹です。
どのように配分すれば、みんなにベストな遺産分割にすればいいでしょうか?
妻に二次相続の控除額4,200万を相続してもらい、姉妹は残りを半分にしました。
こうすると、二次相続のときに相続税は0円になります。
Kさんの妻は子ども思いで「子どもの負担を少しでも減らしたい」という気持ちからこう言う形になりました。
むろん、二次相続は知らないもらえる分だけもらうと主張される方もいます。
もちろん二次相続も借りに遺産が目減りしなかった場合の計算です。
遺産が減れば、その分相続税の額も減ります。
同じ遺産額でも本当に人それぞれなんですね。